
「できませんでした」で報告が終わる
自分の事務作業をAIへ移していく中で、何度もぶつかったことがあります。頼んだ仕事の途中で、「権限がないのでできませんでした」「その操作は許可されていません」と報告して、そこで止まるのです。
間違ったことは何もしていません。事実を正確に報告しています。ですが、仕事は1ミリも前に進んでいません。
人間の担当者なら、こうはなりません。「権限がなかったので、総務に申請しておきました」「この方法が使えなかったので、代わりにこうしました。よろしいですか」。止まったところから、次の手を出してきます。
なぜAIは止まるのか
AIは、言われた範囲を守ろうとします。「範囲の外に出ていい」と言われていないから、外に出ません。まじめなのです。
そして、詰まったことを報告すれば役目は果たしたと考えます。実際、たいていの場面ではそれで正しいのです。勝手に別のことを始められても困ります。
問題は、「詰まったときにどこまでやってよいか」を、こちらが決めていなかったことです。人間の新入社員に対しても、そこを教えなければ同じことが起きます。
僕が決めたこと
いまは、AIへの指示の一番上に、この一文を置いています。
権限や仕組みで止まったら、報告で終わらせず、解決策を提案すること。
これを書いてから、返ってくるものが変わりました。「できませんでした」ではなく、「この方法は使えませんでした。代わりにこの3つが考えられます。どれで進めますか」と返ってくるようになりました。
やっていることは、たった一文の追加です。それで、止まっていた仕事が動き出しました。
止まらせないための指示の書き方
- 「できなかったときにどうするか」を、先に書いておく。これが抜けていると必ず止まります
- 「代わりの案を出すところまでが仕事」と決める。報告は完了ではなく、途中経過だと位置づける
- 勝手にやってよいこと・確認が要ることを、あらかじめ線引きする。「やり直しがきくことは進めてよい/取り消せないことは確認する」くらいの粗さで十分です
- どこで止まったかを記録に残す。同じ場所で何度も止まるなら、それは指示ではなく仕組みの問題です
「AIを入れたのに変わらない」と言う前に
導入がうまくいかない会社の話を聞くと、道具ではなく使い方で止まっていることがかなりあります。しかも、たいていは大きな作り込みではなく、指示の一文で直ります。
もしいま「試してはいるが、結局自分でやったほうが早い」という状態でしたら、どこで止まっているのか、一度見てみませんか。止まっている場所は、たいてい毎回同じです。
この話、他人事ではないと思われたら
「試してはいるが、結局自分でやっている」——その状態からの立て直しは得意です。Claude Code 導入支援・ChatGPT Codex 導入支援では、どこで止まっているかを一緒に特定して、止まらない形に組み直すところからお手伝いします。

