
筋は通っていました。結論だけが違いました
先日、自分のサイトのお問い合わせフォームをAIに点検させました。返ってきた報告は、こういうものでした。
迷惑判定で弾かれた記録が7件あります。7件すべて同じ仕組みが弾いていました。もう一方の対策が弾いた例は1件もありません。したがって、この仕組みが厳しすぎる可能性が高いと考えられます。
数字は本当です。7件とも同じ仕組みが弾いていました。話の運びもおかしくありません。僕も、読んだときは納得しかけました。
ですが、引っかかりました。というのも、その「厳しすぎる」とされた仕組みを、僕は前の日に自分で通り抜けていたからです。何の問題もなく送信できていました。
データを作ったのは、点検していた本人でした
確かめてみると、原因はすぐ分かりました。7件は全部、点検のために自分たちが送ったテストだったのです。
テストは、正規の手順を踏まずに送ります。だからその仕組みが弾くのは当たり前です。しかも、その仕組みが先に弾くので、もう一方の対策は出番すらありません。「もう一方が弾いた例は0件」というのも、当然の結果でした。
つまりこの7件は、本物のお客様について何ひとつ語っていなかったのです。数字は正しい。推論も正しい。それでも結論は間違いでした。
正しい結論は、「まだ分からない」でした。
なぜ、気づきにくいのか
AIは、与えられたデータから筋の通った説明を組み立てるのが非常に上手です。上手だからこそ、前提がずれていても、出てきた文章はきれいに読めてしまいます。
人間が同じ間違いをすると、たいていどこかに歯切れの悪さが出ます。AIの場合、それが出ません。自信のなさが文面に現れないのです。ここが厄介なところだと思っています。
もっともらしい間違いを見つけるための質問
- 「このデータは、誰が作ったものですか」——最初に聞くのはこれです。自分たちのテストが混ざっていないか
- 「本物のお客様の事例は、何件ありますか」——0件なら、結論は「分からない」が正解です
- 「反対の可能性は検討しましたか」——一つの説明しか出てこないときは、たいてい探していません
- 検証用のデータには、最初から印を付けておく。あとから見分けるのは、ほぼ不可能です
だから、最後の判断は人が持ちます
僕はAIを毎日使っていますし、自分の業務はどんどん任せています。ですが、お客様への提案の判断をAIへ丸投げすることはしません。
「AIがそう言っていました」では、説明になりません。なぜその判断をしたのかを自分の言葉で言えて、結果に責任を持てるかどうか。ここは譲れない線だと考えています。
今回、間違いに気づけたのは、僕が現場を知っていたからでした。知っている人が最後に見る。それだけで、防げる間違いがかなりあります。
この話、他人事ではないと思われたら
AIを業務に入れるときに本当に必要なのは、使い方よりも「出てきた答えを疑う型」です。AI・DX伴走支援やClaude Code 導入支援では、そこも含めて社内に残る形でお伝えします。

