
同じ本文の問い合わせが、4通届きました
僕のサイトには、お問い合わせフォームがあります。撮影のご依頼を受けるための窓口です。
ある日、そこに営業メールが届きました。1通ではありません。まったく同じ本文が、4通です。10秒あけて2通、日をまたいでまた2通。本文は1文字も違いませんでした。
機械的な迷惑投稿を止める仕組みは、フォームに入れてあります。4通とも、そこを通り抜けていました。人が手で送っているのですから、止まらないのは当然です。
ここまでなら、消せば済む話です。困ったのは、この先でした。
その4通が、成果として数えられていました
アクセス解析では「お問い合わせが送信された」を成果の地点にしています。広告でも、同じ地点を成果にしています。
この地点が見ているのは、フォームの送信が通ったかどうかだけです。誰が、何のために送ったかは見ていません。営業メールの4通も、そのまま1件ずつ成果に積まれていました。
怖いのはここです。数字は増えます。増えるので、うまくいっているように見えます。中身を開くまでは、気づきようがありません。
13件を1件ずつ開いたら、本物は0件でした
気になったので、直近に届いていた13件を、1件ずつ開いて読みました。撮影、見積、カメラマン、日程、出張、料金、依頼。この7つの言葉のうち、どれか1つでも本文に入っているものを探しました。
0件でした。
この期間に、撮影のご依頼は1件も来ていなかったのです。数字のうえでは、問い合わせが動いていました。でも、仕事につながる連絡は1つもありませんでした。悔しいですが、これが実態です。
もう1つ分かったことがあります。営業メールは、全部が本文にURLを入れていました。1本から3本です。本物のご依頼の文面に、URLはまず入りません。
直したのは、数える条件です
手を入れたのは、フォームそのものではありません。何を1件と数えるかのほうです。ルールは2つだけにしました。
- 本文にURLがあって、撮影に関わる言葉が1つも入っていないもの
- 同じ本文が、7日以内にすでに届いているもの。つまり連投です
作ったあと、手元の見本6本で試しました。撮影の言葉が入っている本物の4本は、そのまま通りました。営業型は2本あって、URLがある1本だけが引っかかりました。狙いどおりです。ルールは、必ず手持ちの実物で試してから入れます。頭の中だけで作ると、本物まで巻き込みます。
弾いても、消しません
ここは、意識してそう作りました。ルールに引っかかった送信も、本文つきで全部残ります。「要確認」の件名で自分にメールが届きますし、そのまま返信もできます。送ってくれた人の画面には、これまでどおり「送信は受け付けました」と出ます。
変わるのは2点だけです。自動の返信が飛ばないこと。成果に数えないこと。
判定は、いつか必ず外れます。そのとき現物が残っていれば、あとから拾えます。残っていなければ、外れたことにも気づけません。
成果の数字を汚さないための決めごと
- 「送信できた」を成果にしない。フォームが通ったかどうかと、仕事につながるかどうかは別の話です
- 数字を見る前に、1件ずつ開く日を作る。合計だけ見ていると、中身が入れ替わっても気づけません
- 本物に必ず入る言葉を、先に書き出す。「これが1件です」を言葉で決めておけば、機械にも人にも同じ判断ができます
- 弾いたものは、消さずに人の目に出す。判定は外れます。現物が残っていれば拾い直せます
- ルールは、手持ちの実物で試してから入れる。本物が通ることまで確かめて、はじめて本番です
AIに数えさせるときも、同じです
この話は、迷惑メールに限りません。AIに数を数えさせたり、仕分けさせたりするときも、まったく同じことが起きます。
AIは、渡された条件のとおりに数えます。条件が甘ければ、甘いまま正確に数えます。そして出てくるのは、きれいに揃った数字です。数字がきれいだと、疑う気になりません。
ですから、任せる前に決めておくことがあります。何を1件と数えるのか。ここを言葉にしないまま自動化すると、こうなります。増えた数字を見て安心して、仕事は1件も来ていない。僕が、まさにそうでした。
この話、他人事ではないと思われたら
「問い合わせの数は出ているのに、仕事につながっている実感がない」——中身を開くと、たいてい理由が見えます。AIが毎週改善するホームページ制作やAI・DX伴走支援では、何を1件と数えるかを決めるところからご一緒します。

