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AIで回す一人事業の週報 ②

AIを130回起こした週
AIの「無料です」を信じて、
6.98ドル使いました

1週間の実録です。AIの起動は130回。AIが「無料です」と報告した処理で、6.98ドル使いました。僕が渡した手順は1件も実行されていませんでした。うまくいった話だけではありません。

公開日: 2026年9月5日|大阪の中小企業向け AI・DX伴走支援 けんちろワークス

AIを130回起こした週

こんにちは、けんちろです。大阪で写真事務所を一人でやりながら、事務作業をAIへ移し続けています。担当は2つに分けてあります。ひとつは事務のAI。メールを読んでNotionへ転記し、請求書を作り、その日の予定を僕のDiscordへ投げてきます。もうひとつは集客のAI。サイトの数字を読み、記事を書き、SNSへ投稿します。

この1週間、AIを起動した回数は130回でした。大きかったのは2つです。2つのAIを、鍵から予算まで完全に切り離したこと。そしてAIの「この機能は無料です」という報告を信じて、僕が6.98ドル使ったことです。

後者は、うっかり課金ボタンを押したという話ではありませんでした。調べて、判断して、間違えたんです。この記事でいちばん長く書いたのはそこです。ほかにも、月に一度しか通らない道が静かに壊れていました。僕が渡した手順は、1件も実行されていませんでした。

まず数字から

この1週間の実測値です。AIの起動は130回。内訳は、上位モデルが94回、中位が16回、最軽量が20回でした。判断が要らない作業ほど安いモデルへ降ろすという方針は、先週から変えていません。

いつもどおり、見張りそのものにAIは入っていません。撮影の空き状況を公開しているページは110回チェックして、実際に書き換えたのは26回。その日の予定の通知は31回出て、予定が動いたので貼り直したのが46回。この一連にAIは1度も関わっていません。ただのプログラムです。

手を入れた量でいうと、集客側の記録が68件、事務側が34件でした。集客側が多いのは、次に書く「切り離し」をまとめてやったからです。

8月29日(土)—— 誤って電源を落としても、自分で起き上がるようにしました

「間違えてシャットダウンしたときの復旧テストをしてほしい」と頼みました。部屋の隅で24時間動いているサーバーが1台あって、そこが止まると自動処理が全部止まります。停電はバッテリーで持ちこたえるので、残るのは僕が手で落としてしまう場合だけです。

これが厄介でした。ソフトから落とすと、コンセントは生きたまま眠るだけです。だから停電から復帰したときに勝手に起動する設定は、発動しません。ネットワーク越しに起こす仕組みも、この機械では使えませんでした。

効いたのは、パソコンの中のボタン電池で動いている時計の目覚まし機能だけでした。そこで、常に少し先の時刻へ目覚ましを置き直し続ける形にしました。10分ごとに、25分後の目覚ましを置く。動いているあいだは毎回上書きされるので何も起きません。落ちた瞬間に置き直しが止まって、最後の置き土産が電源を入れてくれます。

実測はこうでした。23時16分に落として、23時19分51秒に自力で起動。その1分後には、次の目覚ましを置く守りまで復活していました。4分弱です。

あわせて、毎日の点検に1つ足しました。見るのは「置き直しの処理が動いているか」ではなく、「いま目覚ましが本当に刺さっているか」です。ここが黙って外れると、気づくのは電源が落ちた日になります。

8月29日(土)—— 前に書いた数字が間違っていました。原因は自分の集計です

もう一方のサイトで、検索結果に出ているのにクリックされていないページを5本直しました。冒頭に結論を40字ほどで置き、見出しの直下に1文足し、本文にQ&Aを入れました。検索結果に出る紹介文が未設定だった3本も書きました。ページのタイトルは1本も触っていません。8月1日にタイトルを付け替えたときが0勝4敗で、同じ日に戻しているからです。同じ賭けを繰り返さないと決めて、判定は9月26日まで待ちます。

でも、本題はここではありません。直す対象を選ぶのに使っていた数字が、そもそも間違っていました。

検索エンジンの管理画面は、ページ内の目次リンクを別の行として返してきます。僕の集計コードは、その行を親ページへ足し込んでいました。目次の行は「別に1回表示された」わけではなく、同じ1回の表示の内訳です。足すと、表示された回数だけが水増しされます。

結果どうなっていたか。毎週自分あてに出しているレポートに、表示回数を6,748と書いていました。正しくは2,797です。クリック率は実際よりずっと低く出ていて、「このページはひどい」と読んでいたページが、実はそこまでひどくなかったわけです。

集計を直して、目次の行は落とし、クリックだけ親ページへ寄せるようにしました。過去に出したレポートにも訂正を書き足しました。数字が悪いときに真っ先に疑うべきなのは、自分の集計コードです。外の世界より、自分の手元のほうがよく壊れます。

8月30日(日)—— 月に一度しか通らない道が、静かに壊れていました

毎月1回だけ動く処理があります。ある入金を確認したときに、受領のお知らせを自動で返すというものです。8月30日、その返信だけが飛びませんでした。

原因は単純でした。通知を送る部品を、読み込まずに呼んでいたんです。8月25日にサーバーをWindowsからLinuxへ移したとき、古い呼び出し方を新しいものへ置き換えました。そのときに、読み込みの1行だけ書き忘れていました。

怖いのはここです。この間違いは、文法としては正しいので、構文チェックを素通りします。本番と同じ経路を空打ちする試験も通ります。実際にその行が実行されて初めて「そんな名前は知らない」と落ちる。ところが、その行が実行されるのは月に一度だけです。移行から5日、誰も踏まないまま寝ていました。

返信は送り直しました。記録側も「返信済み」に直しました。それだけだと、同じ形が他にも寝ている可能性が残ります。だから毎日の点検に検査を1つ足して、プログラム全体から「定義されていない名前を呼んでいる箇所」を機械的に洗うようにしました。

この検査が鳴ったら、それは必ず本物の欠陥です。当たるかどうか分からない疑いを大量に出す検査は、入れませんでした。毎朝オオカミ少年になる見張りは、そのうち誰も読まなくなります。ついでに、検査に使っている道具自体が消えたときも異常として鳴るようにしました。黙って検査が消えるのが、いちばん危ないからです。

めったに通らない道の、見張りかた

この話は、「動いているつもり」がいちばん怖いの続きです。見張りを1つ作ると、その見張りが見ていない範囲が新しくできます。

8月31日(月)—— 「ニュースが少ない」の原因は、集める側ではなく捨てる側でした

写真とAIのニュースを毎日集めて、僕が読める形に並べる処理があります。ここ数日、僕はこう言っていました。「今日も26本で少ない。選ぶのがない。ガジェットとかPC関連も含めていいかも」。

普通なら、集めてくる先を増やします。でも先に実測を出させたら、まったく違いました。

落ちていたものを読むと、理由はこう書かれていました。「ゲーミングPCなので撮影・配信とは無関係」「汎用の小型パソコン、写真に直結しない」。まさに僕が「含めていい」と言ったものでした。

絞っていたのは入口ではなく、出口でした。判定の基準をゆるめて、迷ったら載せる側へ倒しました。ジャンルを1つ新設して、取得先も3本足しました。同じ日の夕方には、26本が77本になりました。

足りないと感じたら、まず「集めた数」と「残った数」を並べて見る。差が大きければ、増やすべきなのは入口ではありません。

8月31日(月)—— 届いた数と、サイトに来た数を、3段で測ることにしました

SNSは投稿数を数えてもしかたないので、「届いた → プロフィールを見にきた → サイトへ来た」の3段で測る仕組みを作りました。初回の実測がこれです。

詰まっている場所が、2つとも同じでした。届いてはいるんです。そこから先で落ちています。投稿を増やしても、ここを塞がないと同じ形のまま増えるだけです。

母数が小さいので、しばらくは比率で語らないことにしました。「2から4になった」は勢いの話ではなく、2の差です。数週間ためてから読みます。あわせて、その週に何をしたかを日付つきで残す欄を作りました。数字が動いたときに「何をしたからか」を言えないと、記録は感想になります。

この仕組みはAIを1度も呼びません。かかるのは投稿を読み取る費用だけで、1回0.10ドル、月にして0.40ドルです。

9月1日(火)—— 渡した手順が、1件も実行されていませんでした

これがいちばん、ひやりとしました。

8月29日に、広告の組み替え手順をまとめてToDoへ渡していました。9月1日に広告の実物を読ませたら、1件も入っていませんでした。3日間、僕は「入っているつもり」でいました。

なぜ気づけなかったか。手作業のToDoは、やったかどうかを機械が知らないからです。しかも、それまで持っていた広告の確認スクリプトは「期間の実績」しか出しませんでした。実績は、設定を変えても翌日以降にしか動きません。「いまどうなっているか」を読む口が、そもそも無かったんです。

直したのは2つです。1つは、予算・キーワードの一致のしかた・除外語・広告文といった「現在の設定」だけを読むスクリプトを別に作ったこと。実績を出す口とは分けました。混ぜると、また実績のほうを見て安心します。

もう1つは、同じ内容をAPIで流し込んだことです。この日、24件を実行しました。1日の予算を100円から300円へ、動画向けの4語を停止、フレーズ一致の10語を追加、除外語を7語追加、見出し3本と説明文1本を差し替え(「撮影をを行います」という誤字も、これで消えました)。実行後に実物を読み直して、反映を確認しています。

1件だけ、送った直後に落ちました。もう一度送ったら通りました。原因は分かっていません。記録に残っていたのが「通信が終了しました」という趣旨の1行だけで、追いようがなかったからです。だからエラーの中身をそのまま残すように直しました。次に同じことが起きたら、今度は理由が読めます。

9月1日(火)—— AIの担当を、鍵から予算まで切り離しました

僕はこう頼みました。

将来的にAIの使用量が増えてきたら、2つのAIは別インスタンス(別のAIシステム)になる可能性もあるので、依存関係は作らないでくださいね。

それまで、集客側のAIは事務側のAIの部品を借りて動いていました。AIを呼ぶ口、使用量を数える計量器、メールの下書きを作る口。全部が事務側のものです。事務側が止まれば集客側も止まる形でした。

3本とも切りました。AIを呼ぶ鍵は集客側の専用のものを発行してもらい、計量器も自分のぶんを数えるものを新しく作り、メールの認可も集客側で取り直しました。確かめ方は、事務側のフォルダを見えなくした状態で実際に動かすことにしました。コメントに「独立しました」と書くのは確認ではありません。

ここで数字が1つ出てきました。2つを足すと、枠を超えていたんです。AIの週あたりの枠は共有で330ドル。ところが集客側には、根拠のない当て推量で120ドルと置いてありました。事務側の236ドルと足すと356ドルです。26ドルはみ出していました。上限として置いた数字が、上限を超えている。これでは意味がありません。実測から94ドルへ直して、合計でちょうど330ドルに収めました。

認可の作業では、僕も1回やらかしています。止めたいプロセスを名前で探して落とすコマンドを打ったら、その条件が自分のシェルにも当たって、自分ごと落ちました。笑い話ですが、無人で走らせていたら気づきにくい形です。

9月4日(金)—— 指示書が、毎回読み直す固定費になっていました

「AIの使用量が増えるのが早いね」と言ったのが発端でした。てっきり、重いモデルを使いすぎているのだと思っていました。

違いました。原因はAIへの指示書そのものです。

うちでは、AIが読む指示書をテキストで置いています。決めごと、過去に踏んだ失敗、やってはいけないこと。真面目に書き足してきた結果、7月26日に12KBだったものが、9月4日には99KBになっていました。6週間です。

ここが盲点でした。この指示書は、AIが1往復するたびに、まるごと読み直されます。1つの仕事で20〜30往復するので、書き足したぶんがそのまま毎回の固定費になります。中身を1文字も使わない回でも、読み込む費用はかかります。

やったことは、「毎回要るもの」と「触るときだけ要るもの」を分けることでした。決めごとは残し、「なぜそう決めたか」の顛末は別の資料へ全文移して、参照先の1行だけ置く。1往復あたりの固定分が81,665から69,020へ下がりました。決めごとは1つも変えていません。

ただ、この作業でやらかしました。消してはいけない決めごとを3つ消しました。

移す範囲を「見出しから、次の空行まで」という条件で機械的に決めていたんです。ところが、空行を挟まずに次の項目へ続いている箇所がありました。そこで範囲がはみ出して、後ろの3項目を巻き込んで消していました。

気づけたのは、作業の前後をバックアップと1行ずつ突き合わせたからです。消えた行が無いことを確かめる手順を、最初から入れてありました。範囲の決め方を厳しくしてやり直し、消えた3項目は戻っています。

「決めごとは変えていません」と書くなら、変えていないことを機械で確かめてから書く。丁寧に説明できることは、正しさの証拠になりません。

ついでに、ふくらみの見張り自体も直しました。片方の指示書しか見ていなかったんです。両方のAIが読む共通の指示書は監視の外で、12KBから59KBになるまで一度も指摘が出ていませんでした。両方見るようにしました。

後戻りが効かない操作の前にやることの対比。上は避けたい形で、説明ページを読んで自分で解釈し、使いたいという気持ちが解釈に混ざったまま「たぶん無料」で実行してしまい、間違いに気づくのは請求が来たときになる。下が取るべき形で、実行する前にメーターの数字を控え、いちばん小さい単位で一度だけ試し、もう一度メーターを読んで差を見る。数字が残るので解釈の余地がない。ただし戻せる操作は測らずに進めてよく、分かれ目は「戻せるかどうか」の一点だけ。
「調べた」と「測った」は違います。後戻りが効かないものだけ、測ってから。

9月5日(土)—— 「無料です」と報告して、6.98ドル使いました

カードの請求を見たら、身に覚えのない13.38ドルがありました。

調べたら、動画配信に使っているサービスの自動文字起こしでした。69分ぶんで6.98ドル。前払いの残高がマイナスに落ちて、カードから自動でチャージが走っていました。

実行したのは集客側のAIです。実行前の報告には、こう書いてありました。「この機能は追加料金なしで使えます」。

ここが本題です。なぜ、無料だと報告したのか。

調べたからです。料金ページに「全機能が追加料金なしで使えます」と書いてあって、それを読んで判断していました。嘘をついたわけでも、確認をサボったわけでもありません。ちゃんと調べて、そのうえで間違えました。

順番が問題でした。「文字起こしを使う」と決めたあとで、料金を見に行っている。そうすると、無料と読める材料のほうが目に入ります。解釈には、やりたいという気持ちが混ざります。もっともらしい間違いの見つけ方に書いたのと、まったく同じ構図でした。

僕は対策を3回受け取って、3回とも突き返しました。

3つとも、間違った報告が上がってきたあとの話でした。報告そのものが間違っているなら、どれも効きません。最後に僕が出した結論はこれです。

後戻りが効かないものに対して、推測ですすめるのはNGです。確実な1次情報がある状態で進めるか、小さく試してテストするかを徹底してください。そのうえで、サイトの更新など後戻りができるものに関しては、できるだけ僕の手を使わず、承認無しで進めてください。

後半が大事だと思っています。前半だけを渡すと、AIは何をするにも止まるようになります。そうなったら、僕の手数はむしろ増えます。だから指示書には、この2つを必ず並べて書きました。片方だけ読ませない。

そのうえで、判定の材料も具体的にしました。料金は「調べる」のではなく「測る」。実行前にメーターの数字を控えて、いちばん小さい単位で1回だけ試して、もう一度メーターを読む。差がゼロなら無料です。ページに何と書いてあっても関係ありません。

手を入れたのは、次のところです。

ただし、最後の網は本質ではありません。判断を間違えても被害を小さくするための保険であって、間違えないための仕組みではないからです。効くのは「後戻りが効くか」を先に問う、その1行のほうです。

後戻りが効かないものを触る前に、決めたこと

この決めごとは、AIへのお願いではなく手順として書きました。お願いは風化します(AIへの指示は「お願い」ではなく「仕組み」で守る)。

1週間やってみて

数字でまとめると、こうです。

今週いちばん効いたのは、「調べた」と「測った」は違うという一行でした。

調べるのは解釈です。読む人の都合が入ります。測るのは差を見るだけなので、都合の入りようがありません。料金のメーターを前後で読めば、ページに何と書いてあっても答えは1つです。同じことが、集計の間違いにも、広告の設定にも当てはまりました。数字が悪いとき、外の世界より先に、自分の手元を測る。

もうひとつ。今週は「止める仕組み」を足した日が多かったのですが、止める側だけを強くすると、AIは何もしなくなります。止める決めごとを書いたら、同じ場所に「これは止めなくていい」も書く。片方だけの指示書は、そのうち誰の役にも立たなくなります。

来週も続きを書きます。

この話、他人事ではないと思われたら

ここに書いたことは全部、自分の事業で実際に起きたことです。AIを業務に入れて本当に効くのは、動かすところより「止まったら分かる形」と「間違えても戻せる形」を先に決めておくことでした。AI・DX伴走支援Claude Code 導入支援では、そこまで含めて社内に残る形で一緒に作ります。「うちでも同じことが起きそう」と思われたら、一度見せてください。

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