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AI活用のこれから ②

AIは、
育てるものになりました

前回、AIの使い方は受け身能動的の2つに分かれた、という話を書きました。今回はその能動的なほう——AIに仕事を任せる側——をもう一段だけ掘り下げます。鍵になるのは「育てる」です。

公開日: 2026年9月2日|大阪の中小企業向け AI・DX伴走支援 けんちろワークス

AIは、育てるものになりました

前回の続きです

前回、AIの使い方は2つに分かれましたという話を書きました。放っておいても手に入る受け身の使い方と、取りに行かないと手に入らない能動的な使い方です。

今回は後者の中身に入ります。AIに仕事を任せる側でいちばん効いてくるのが、AIを育てるという考え方です。

先に、環境の話をさせてください

育てるという話をする前に、いまAIが置かれている環境を整理しておきます。登場するのは3つだけです。

3つめが肝心です。いまのAIは、パソコンの中のファイルを読めますし、書けます。人が画面に打ち込んだ文章だけを見て答えるのではなく、手元のファイルを開いて中身を確かめてから動く、ということができます。

ファイルを触れると、できることが2つ増えます。ひとつは、AIが自分でプログラムを書いて、自分で動かせること。もうひとつは、細かい決めごとを書き留めておいて、次に動くときにそれを読んでから動けることです。今日の話は、後者のほうです。

AI本体は、みんなで共有しているものです

ここで一度、思い出しておきたいことがあります。AIそのものは、あなた専用のものではありません。

性能も、できることも、いつ変わるかも、提供している会社が握っています。こちら側で変えられるのは、ちょっとした設定くらいです。使う人がコントロールできる幅は、実はかなり狭い。

「AIはすぐ忘れる」「前に言ったことを覚えていない」と感じたことがあると思います。理由はここにあります。共有のものなので、あなたの会社の事情は、そもそも向こう側に置かれていません。

AI本体と、手元のファイルの違い。AI本体はみんなで共有しているもので、性能も仕様も提供する会社が握っており、使う側が変えられるのは設定くらい。だから自分の事情は最初から入っていない。一方、パソコンの中のファイルは自分のもので、好み・決めごと・やらないことを書き、日付つきでやったことを残せる。AIは動くたびにそれを読む。AI本体はみんな同じものを使うので、差がつくのは手元のファイルのほうだけ。
同じAIでも、読んでいるファイルが違えば返ってくる答えが変わります。

差がつくのは、パソコンの中だけです

ではどこで差がつくのか。手元のファイルです。

AIがファイルを読めるということは、覚えておいてほしいことを、全部こちら側に置いておけるということです。AIの記憶力に期待するのをやめて、記憶のほうをファイルにしてしまう。動くたびに、それを読ませる。これで「忘れる」は問題でなくなります。

そしてファイルはあなたのものです。好きなだけ書き足せますし、消せますし、増やせます。AI本体は動かせなくても、こちらは動かせる。ここが唯一、自分の手でコントロールできる場所です。

ファイルには、何を書くのか

やることは単純です。AI用のファイルを作って、書き足し続ける。それだけです。中身は、たとえばこういうものになります。

最後のひとつに、小さなコツがあります。「今週」「先週」と書かないこと。ファイルは残り続けるので、相対的な書き方をすると、あとから読んだときに意味がずれます。「9月2日にこれをやった」と、動かない日付で書く。これだけで、時間が経ってからAIが自分で拾えるようになります。

ここまで書けていると、返ってくるものが変わります。「9月2日にこれをやっていますね。それなら、今回はこうしましょう」という形になる。指示を実行するだけの相手から、提案してくる相手に変わります。

実際、ここまで短くなりました

いま僕の手元で動いているものを、2つ挙げます。どちらもその場では何も説明していません。

ひとつめ。手書きの日記です。紙に書いた日記を撮って、チャットに画像を1枚貼る。それだけです。「これは何月何日の日記です」とは打ちません。その形の画像が来た時点で、日記として扱われます。文字起こしされて、その日の記録として保存されるところまで進みます。

ふたつめ。撮影の完了報告です。撮影が終わったら、「撮影完了 540円」とだけ送ります。これで案件の記録が更新され、交通費が入ります。

この一言で足りるのは、書いてあるものを読んでいるからです。いまの時刻を見て、今日どの現場に行っているかを予定から調べ、この報告はその案件のことだと判断する。金額のほうも、いつも片道の交通費を送っていると分かっているので、そこへ入れます。

賢いことをさせているわけではありません。ずれたところを、その都度ファイルへ書いてきただけです。

AIの育て方は3つの繰り返し。1つめ、頼むとずれる。こちらの前提をAIは知らないため。2つめ、ずれた理由をその場でファイルに書く。言い直して終わりにしない。3つめ、次からは言わなくても合うようになり、同じ説明を二度しなくてよくなる。2つめを飛ばすと、翌月も同じことを言う羽目になる。
特別なことはしていません。ずれたところを書いているだけです。

育て方そのものは、拍子抜けするほど単純です

やっているのは、3つの繰り返しだけです。頼む。ずれる。ずれた理由をその場でファイルに書く。すると次からは、言わなくても合うようになります。

大事なのは真ん中です。口で言い直して終わりにすると、来月も同じことを言う羽目になります。言い直すほうが一瞬で済むので、つい書かずに流してしまう。ここを書くかどうかだけで、半年後にまったく違うものになります。

僕の場合、記録が残っているのは7月の下旬からです。1か月あまり、毎日のように書き足してきました。上の2つができるようになったのは、その積み重ねの結果です。

長く積んだ人ほど、有利になります(ここからは僕の予想です)

ここからは、根拠のある話ではありません。毎日触っている人間の見立てとして読んでください。

AI本体の性能は、みんな同じです。同じものを、同じ日から使えます。ところが手元のファイルだけは、時間をかけないと積み上がりません。あとからお金で買うこともできません。

しかも、積み重ねが効く度合いが上がっています。AIが賢くなるほど、書いてあることをうまく汲み取るようになるからです。同じファイルでも、以前より効きます。

つまり、長く積んできた人と、これから始める人では、スタート地点が違います。始めた日の差が、そのまま残る。ここは、あとから追いつきにくいところだと思っています。

だからこそ、育て方には計画が要ります

ここまで読むと「とにかく書き溜めればいい」と聞こえるかもしれませんが、そうでもありません。

何を書き、何を書かないか。どこに置くか。どれを毎回読ませ、どれは必要なときだけ引かせるか。決めずに増やすと、量はあるのに使われないファイルができます。1年後にどうなっていたいかから逆算して、置き場所と書き方を先に決めておくほうが、結果的に速く進みます。

長期の視点で、どう育てるかを計画する。能動的にAIを使うというのは、道具を選ぶ話ではなく、ここまで含めた話だと考えています。

いま押さえておくといいこと

あなたの会社のAIは、何を覚えていますか

AIを導入したのに思ったほど便利にならない、という話をよく伺います。中身を聞いてみると、毎回ゼロから説明し直していることがほとんどです。それは道具のせいではなく、覚えておく場所を作っていないだけです。

いま自分の事務所で何をどこまで任せているかは、全体像をまとめた記事にそのまま書いています。上に書いたファイルを1か月あまり積んだ結果が、あの状態です。

何をファイルに書き、どこから育てていくか。その最初の設計を一緒にやるのが初回相談の1時間です。まだ何も決まっていない状態で大丈夫です。

あなたの会社のAIは、いま何を覚えているでしょうか。覚えていないなら、覚えさせるところからです。

この話、他人事ではないと思われたら

AIを育てるというのは、社内のやり方をAIに読める形にしていく作業です。ここを一緒に組み立てるのがAI・DX伴走支援(月額で毎月手を入れる形)と、Claude Code 導入支援(組んで動く形にしてお渡しする形)です。どちらが向いているかは、お話を伺って決めます。まずは初回相談から。

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